2020年7月11日~2020年8月10日締切分

今回より、入選5句についても選評します。その代わり、一つ一つを短くします。

特選1
路地にまではみ出す茣蓙や地蔵盆 村手圭子

京都などでは、今も8月の23,24日頃に町内会で地蔵盆をしています。狭い路地にはみ出した茣蓙などの上に果物やお菓子を供えます。「茣蓙」という二文字がこの句を生き生きとさせました。

特選2
整備せる主翼の影に三尺寝    古谷彰宏

単なる昼寝とは異なり、大工や職人が仕事の合間に寝ることを三尺寝と言います。この句では、機体を整備する技術者がその下で仮眠を取っていたのでしょう。大小の対比が面白い句です。

特選3
シンバルを連打す如き極暑かな 近藤八重子

思い切った表現の句です。シンバルを連打とはやや抽象的な表現ですが、両耳をつんざくようなたまらなく大きな音がすることを言っていて、今年の極暑での実感だということが理解出来ます。

入選1
【68】仏具の名どれがどれやら盆用意  広田祝世

確かに、お盆の時に仏壇に供える具足、高坏、鈴台などの仏具独特の呼び名は、普段使わないので難しいです。

入選2
【75】銀座にも路地あり虫の闇のあり  小林恕水

東京の銀座という大都会の中でも季節を感じることが出来るということを証明する良い例句です。

入選3
【93】腹ばひの足裏の白し水遊び    鳥居範子

川原などで腹ばいになって遊んでいる日焼けした子供たちの足の裏が白いということを発見した一句です。

入選4
【129】全開の窓に森の香避暑の宿   大久保佐貴玖

気持ちの良い避暑地の感じがよく分かる句です。早く心配なく避暑の旅がまた出来るようなってほしいです。

入選5
【135】闇に声潜めて蛍待ちにけり   平田冬か

蛍はデリケートな生き物です。カメラのフラッシュはもちろん、物音も控え目にして待つことがマナーです。

以下、次点句(添削句もあります)

※来月からは、新しい互選句会システムである「夏雲」を導入するので、やり方が変わります。最初は皆さん慣れないと思いますが、頑張って習得してください。

【1】木下闇幼なじみの秘密基地     敷島鐵嶺

【3】置物のやうに鷺ゐる青田かな    阿部由希子

【9】セザンヌの机の小さく林檎置く   阪野雅晴

【19】奈良町の路地を素通り秋の風   角山隆英

【26】葛の花奥の院まで道半ば     玉田ユリ子

【29】峠茶屋縁に円座を並べくれ    山崎圭子

【31】全身の力抜けゆくハンモック   木村由希子

【32】干しあがるシーツ真つ白梅雨明くる 宮原昭子

【35】無縁墓増えゆく故山蝉しぐれ   長谷阪節子

【43】下駄の音郡上踊りのたけなはに  篠原かつら

【46】オンライン各地の花火ひとまたぎ 若松歌子

【49】隠れ滝あらはとなれる梅雨出水  広田祝世

【54】見はるかす紀伊の峰々下り簗   玉田ユリ子

【55】アイメイク懇ろにせるマスクかな 中島 葵

【60】日焼して密漁監視怠らず     田島もり

【62】屋形橋吊橋渡り避暑散歩     篠原かつら

【63】独り占めしたき木箱のさくらんぼ 小林久美子

【67】鰡飛べり松帆の浦のゆふぐれに  平松文子

【77】風のふと止まる彼の刻原爆忌   黒岩恵津子

【79】黄泉の世へ誘はるる夢明易し   迫田斗未子

【80】新盆の回り提灯汚れなし     小西俊主

【91】こんな選駄目と叱咤や朴の忌来  古谷彰宏

【95】長谷長廊降り来る風は既に秋   角山隆英

【97】読めさうで読めぬ一軸お風入   木村由希子

【98】香水や昭和女の夜間飛行(ボルドヌイ) 敷島鐵嶺

【102】出来立ての句集も供ふ魂棚に   広田祝世

【103】知らずともよきこと知りし髪洗ふ 糸賀千代

【105】海女小屋の軒に十薬束ね干す   内田あさ子

【107】兵たりしことは語らず生身魂   小林恕水

【110】玉葱を吊る古民家はレストラン  武田順子

【111】足早に先斗町行く解夏の僧    前田野生子

【124】下り簗鷺は身じろぐことをせず  玉田ユリ子

【127】朴の忌や主客合一目差すべし   古谷彰宏

【128】峠茶屋清水に浸けて山葵売る   古谷多賀子

【134】片陰に押し込む車椅子の母
      (--車椅子の母押し込みぬ) 田島かよ

【141】我が意見全否定されサングラス  迫田斗未子

【143】独り居に事足る小玉西瓜かな(--の--) 竹内万希子

    次回も誌友の皆さんからの投句をお待ちしています。