2018年12月11日~2019年1月10日締切分

特選1
郵便の届くまでにと雪を掃く   西岡たか代

郵便が配達される時刻は毎日大体決まっています。作者は、郵便配達の人の来る時間を見計らって、それまでに家の前の雪を掃いて郵便配達のバイクが滑らないようにしたのでしょう。こうした日常のちょっとしたことを淡々と詠むだけでも、読者の心に響く句が出来るという見本のような一句です。

特選2
わが町に頑張る本屋買初す   田島もり

スマホやSNSの普及により人々の活字離れが進み、さらにツタヤなどの大手ブックチェーンが都心に出来たりして町中の書店は生き残りが益々厳しくなって来ています。読書を愛する作者は、そうした小さな書店がいつまでもあり続けることを願って年の初めに本を買い初めしたのでしょう。

特選3
雪は入れないでねと札露天風呂   中島 葵

北国の温泉宿でしょうか、宿の周囲に積もった雪を見ながら入れる露天風呂があるのでしょう。雪見風呂とは風流なものですが、子供達は雪を見るとはしゃいで、どうしてもいたずらをしたくなります。小さい子供達にも分かりやすく、また優しく札にこの句のように注意書きをしているのでしょう。

入選1
【16】たぎちゐる闘竜灘は涸れ知らず   広田祝世

入選2
【27】亡き顔の泛ぶ選集読初   黒岩恵津子

入選3
【37】石嚙しある大釜や楮蒸す   古谷多賀子

入選4
【50】会心の一矢的中弓始   角山隆英

入選5
【68】蓋とれば崩れ散らばる歌留多かな   長谷阪節子

【7】ポッペンを吹く歌麿の絵を真似て   篠原かつら

【18】AIの然も棒読みの御慶かな     木村由希子

【21】オンドルに車座となる句会かな   古谷彰宏

【30】轟音の響き閉じ込め滝凍つる    大久保佐貴玖

【36】猪の棲む村に菊炭守り継ぐ     竹内万希子

【38】かばかりの撒き餌に寄り来寒雀   玉田ユリ子

【53】エプロンをはづす間もなく年明くる  和田容子

【58】落ちさうで落ちぬ最後の一葉かな   小林久美子

【61】どんな夢見たと問はるる二日かな   巻木痺麻人

(体言の前は連体形に)

【86】破魔矢受けすぐ大空へ差し上ぐる   村手圭子

【91】かかはらず日蝕進む凧の空       平田冬か

【93】梍莢の棘尖らせて冬ざるる       斎藤利明

【108】重畳や初音朝湯に聞こうとは    近藤八重子

【112】廃校に土の匂へり霜柱       足立 恵

【113】初夢の会ひたき人に二度寝かな   野村親信

【114】入り隅の塵を掃き出し年用意    竹本正竜

【120】吾は母に娘は吾に似し初鏡     内田あさ子

    次回も誌友の皆さんからの投句をお待ちしています。