2026年2月16日~2026年3月15日締切分

森田 純一郎選(新ウェブ句会より)

特選 三句

  • 51

    比良八荒湖面へこまんばかりかな

    中島 葵

  • 82

    ビニールの紐一色の古巣かな

    広田祝世

  • 46

    罅割れの進む地球儀春寒し

    黒岩恵津子

秀逸 五句

  • 2

    春愁や言葉の綾を汲みとれず

    清水洋子

  • 57

    冴返る伯耆の空に巨星墜つ

    吉浦 増

  • 74

    句会果て夜の沈丁ひときはに

    森田教子

  • 86

    木の芽晴背伸びしさうな気根群

    田島かよ

  • 93

    上京の町の静けさ梅さかり

    西本陽子

特選 三句

  • 特選1

    比良八荒湖面へこまんばかりかな

    中島 葵

    3月26日、琵琶湖西岸・近江舞子で春の訪れを告げる比良八講という法要が行われます。この頃に寒気がぶり返し、比良八荒と呼ばれる比良山地からの激しい吹き下ろしがあることが知られています。この句では、琵琶湖の湖面が凹むほどだと表現して、比良八荒の激しさを伝えています。

  • 特選2

    ビニールの紐一色の古巣かな

    広田祝世

    雛が巣立って打ち捨てられた古巣はどことなく寂しさを感じさせます。しかし、この句においては親鳥がどこからか運んできたビニール紐で作られた古巣と言っているので、カラフルなものを想像します。カタカナ表現により、軽快な感じを与える写生句で、よく見て作られている句です。

  • 特選3

    罅割れの進む地球儀春寒し

    黒岩恵津子

    古くなった地球儀に罅が入ったのだと思いますが、それを春寒しという季語に取合せて詠んだことにより、読者に心象的な鑑賞をさせる句になっています。平和を求めることに逆行するような世界各地での紛争によって、地球自体に罅割れが進んでいると感じさせる高度な表現の句です。

秀逸 五句

  • 秀逸1
    【2】

    春愁や言葉の綾を汲みとれず

    清水洋子

    「言葉の綾」とは、巧みな言い方ということですが、その裏にある本音を汲み取ることが出来ずに、気ま ずい雰囲気になったことに悩んだのでしょう。これも春愁の一つなのです。

  • 秀逸2
    【57】

    冴返る伯耆の空に巨星墜つ

    吉浦 増

    3月に97歳という長寿を全うして逝去された元中四国同人会長でもある佐藤夫雨子氏への弔句です。現在の同人会長として、また俳句の先達に対しての作者の畏敬の思いが伝わって来ます。

  • 秀逸3
    【74】

    句会果て夜の沈丁ひときはに

    森田教子

    沈丁花は秋の金木犀と並ぶ強い香りを発する花です。殊に当たりが暗くなった頃に、闇の彼方から匂う沈丁花は春という季節とあいまって独特の気怠さを感じさせます。句会後にはより強く感じたのでしょう。

  • 秀逸4
    【86】

    木の芽晴背伸びしさうな気根群

    田島かよ

    春の初め、様々な木の芽吹く季節に、植物園の水縁などに生える落羽松の周りにニョキニョキと露出する気根群は、小人達が背伸びしているようにも見えます。

  • 秀逸5
    【93】

    上京の町の静けさ梅さかり

    西本陽子

    上京という地名が効果的な句です。西陣の辺りを想像しますが、中京や下京と異なり、大きなビルが少なく狭い路地の多い町は静まり返り、どこからか梅の香が漂ってくるのです。

入選

入 選 句

  • 【6】

    花園の如くに染めし玉子かな

    前田野生子

  • 【17】

    厩出しや妊れる牛しんがりに 

    古谷多賀子

  • 【26】

    御食国てふ島に生き白子干す

    武田順子

  • 【31】

    遅れ来る人を待つ間の日向ぼこ

    近藤八重子

  • 【35】

    青き踏む農夫の赤きスニーカー

    安田純子

  • 【36】

    実朝の詠みし荒海若布寄す 

    古谷彰宏

  • 【39】

    花疲れさらりと祓ひ空の旅

    峰村ひさ子

  • 【61】

    媛陵にあまねき春の光かな

    阿部由希子

  • 【69】

    ぼんやりと繰る新聞や春の風邪

    糸賀千代

  • 【75】

    作者名A Iのホ句万愚節
    (・・・とあるホ句・・・)

    黒岩恵津子

  • 【77】

    ライオンの骨砕く音檻冴ゆる

    木村由希子

  • 【78】

    姉川の堰片寄せて上り簗

    古谷彰宏

  • 【87】

    雨音の消えて淡雪地に溶けり

    栗原栄一

  • 【100】

    孕み鹿足折りたたみ坐りけり 

    前田野生子

  • 【102】

    移植鏝洗ふバケツの水温む
    (・・鐺・・・・・・・・・)

    栗原栄一

  • 【103】

    尼とても手の数珠落とす目借時

    小林恕水

入選

佳 作 句

  • 【1】

    水切りの子らの歓声山笑ふ

    黒岩恵津子

  • 【4】

    渓谷をなだれ落つかに梅満つる
    (・・・・・・・・・満の梅)

    西岡たか代

  • 【10】

    野面積みほんの隙なるすみれ草

    山崎圭子

  • 【23】

    陋屋に気高く咲くや白木蓮

    森田教子

  • 【43】

    石鹸玉はじけて幼はづみけり

    月森こはぎ

  • 【58】

    何話すでもなく老いの春炬燵

    近藤八重子

  • 【67】

    知床は旅情の岬鳥帰る 

    安田純子

  • 【80】

    沈丁にわが嗅覚の甦り

    中内ひろこ

  • 【98】

    吹き上がりふはりと戻る柳の芽 

    清水洋子

  • 【105】

    梅が香や犬は大地を匂ひたり

    月森こはぎ

  • 【106】

    土竜威しカラカラ風の光りけり 

    平田冬か


純一郎吟

  • 【15】

    春探すためと裏道歩きけり

  • 【48】

    妻留守の一日無聊の遅日かな

  • 【110】

    気が付けば我一人なり春の暮