2021年3月16日~2021年4月15日締切分



特選1
加太にいま刈りし若布の長きこと        村手圭子

加太の豊かな海で育った天然ワカメは紀淡海峡の厳しい海流にもまれることで引き締まりが良く、 色鮮やかだと言われます。刈ったばかりの美しい加太の若布の長さを見た作者の感動が伝わります。

特選2
ふらここを漕ぐ少年の昏るるまで        斎藤利明

「昏るるまで少年ふらここを漕げり」と直そうと思いましたが、原句のままの方が作者の 感動がストレートに伝わると思い、直すことを止めました。ふらここを漕ぐ少年の寂寥感が伝わってくる句です。

特選3
青空へ梯子あらばと朴の花(青空へ梯子あらばと朴仰ぐ) 迫田斗未子

樹高20メートルにもなる朴の花を空に梯子を掛けてでも真近で見てみたいという作者 の気持ちはすごくよく分かります。なお、「朴の花」としないと「朴」だけでは季語にはなりません。

入選1
【14】散る花にバンカーの球見えぬほど
    (バンカーに球見えぬほど花の塵)      稲垣美知子

入ったゴルフボールが紛れてしまうほど、バンカーの中に落花が降り頻っていたのでしょう。

入選2
【27】地球儀を幾度も回し春惜む
    (地球儀を回し見る旅春惜しむ)       野村親信

新型コロナウイルス感染のために海外旅行を諦めざるを得なかった虚しさが伝わります。

入選3
【55】芝桜浮かば魔法の絨毯に
    (浮き上がり魔法の絨毯芝桜)        森田教子

芝桜が魔法の絨毯のように浮き上がって欲しいと思う句です。「浮けば」でなく「浮かば」でないとダメです。

入選4
【64】憂き人にたんぽぽの絮吹きつけぬ       平田冬か

春は憂鬱になる季節です。そんな人にたんぽぽの絮を吹き付けて元気を出しなさいと励ましているのでしょう。

入選5
【90】濡れ行くにちと強すぎる春の雨(濡れるには---)内田二歩

新国劇の月形半平太が舞妓に言うセリフの「春雨じゃ濡れて行こう」には、雨が少し強すぎたのでしょう。

以下、次点句です、添削したものもあります

【1】芽柳に誘はれ外湯巡りかな       竹内万希子

【2】母の手を取り鎌倉の春惜む
     (母の手を取りて鎌倉春惜しむ) 大久保佐貴玖

【4】厩出しの牛音立てて尿けり       長谷阪節子

【11】痛さうなはちきれさうな袋角      近藤八重子

【21】散る花の千鳥ヶ淵を埋めにけり
            (花筏---)    和田容子

【32】釣銭にハーブの香り植木市      黒岩恵津子

【35】七曲り曲がれば桜また桜       西本陽子

【49】浚渫船うごき動かず陽炎へる     迫田斗未子

【60】花筏今ひと片の離れゆく       吉川やよい

【63】ゴシックの線太く描く蜷の道
        (ゴシック体----)    壁谷幸昌

【66】木々芽吹き狭庭明るくなりにけり  小林久美子

【71】三姉妹元気に揃ひ桜餅       糸賀千代

【73】暖かや立机の称ふ全句集      吉浦 増

【75】真つ白なテーブルクロス薔薇を置く 清水洋子

【83】江戸の春人力車にて惜しみけり
      (人力車より江戸の春---)  田島かよ

【86】雛壇のフランス人形靴脱がず    前田野生子

【88】全身に輝き放つ桜鯛        足立 恵

【91】梨の花散りて下総うすぐもり    和田公子 

【93】防風のよく匂ひたるリュックかな
         (--根の--匂ふ--)  木村由希子

【98】分校へ近づく程に河鹿澄む     古谷多賀子

【100】つばめ飛ぶ水平線を切るごとく  村手圭子

【105】花疲れメイク落としもせぬままに
         (----せざるまま)  木村由希子

【108】イヤリング片方なくす花疲
          (--あらず---)  糸賀千代

【119】小十戸の灯の消ゆる頃青葉木菟  宮原昭子 

【124】城跡は老松多し緑立つ      鳥居範子

【127】花馬酔木分け入る先に九品仏(--や--)斎藤利明

【130】牧開き黒点めける但馬牛
      (但馬牛黒点めきて牧開き)  長谷阪節子

【136】アザレアのアーメンコーナオーガスタ 敷島鐵嶺

【139】御師の宿出づる行衣に緑さす    古谷彰宏

【145】歌舞練場出ていもぼうへ春の宵   広田祝世

【147】髪につく落花はしばし取らずおく  高橋宣子

【149】まづ影に気づきあめんぼ見つけけり 篠原かつら

【156】見納めと言はるゝ花を濡らす雨
           (--言張るる---)  阪野雅晴


純一郎吟

【76】狭山池半周なほも花の冷え

【80】ゴルフ球探すにも似て青き踏む

【112】残されし選挙ポスター花は葉に