2018年5月11日~2018年6月10日締切分

特選1
資料館出でても涙原爆忌   田島もり

元句「資料館出ても涙や原爆忌」から直しました。作者は広島の原爆資料館を訪れ、 あまりにも生々しい展示を見て、館外に出た後もショックと悲しみで涙が止まらなかったのでしょう。

特選2
産土の拝殿灯り青葉木菟   篠原かつら

これはどこの神社を詠まれたものかは分かりませんが、青葉木菟の鳴き声の聞こえるような静かで 寂しい土地を思います。

特選3
神の島石蓴畳に一穢なく   山崎圭子

先日の吟旅で訪れた宮島を詠んだ句だと思いますが、「神の島」と「一穢なく」 と言う表現が効いていると思いました。

【41】先導の声を頼りに蛍狩   阿部由希子

真っ暗闇の中を進んで行く蛍狩の様子が分かります。

【56】うらおもて左右もあらず吊忍   平田冬か

このように吊忍を詠んだ句はなかったと思います。言われてみれば、納得出来ます。

【68】遠山を消し去り里の五月雨るる   角山隆英

里に降る激しい五月雨は、遠くに見えるはずの山を視界から消し去ったというのです。 その光景が目に浮かぶようです。

【69】梅雨深しまだまだ解けぬ仮住ひ   竹内万希子

作者自身が東北大震災で被災されたのか、誰か他の被災者を詠まれたのかは分かりませんが、 まだ梅雨が続くということと仮住いが続くことの両方の意味を持つ切ない句です。 一日も早く自分の家に帰還されることの出来るよう祈ります。

【77】ほどの良き雨に紫陽花華やげる   糸賀千代

上五の「ほどの良き」と言う表現が紫陽花の咲く頃に降る雨の様子をうまく伝えています。

以下、選句をしていて、気が付いたことです。

【14】千畳閣千人昼寝できさうな

宮島にある千畳閣は元々秀吉が武士の鎮魂のために作った供養堂です。 秀吉が安国寺恵瓊という僧侶に命じて作らせたことも含め、 この句に限らず宗教的な意味合いのある場所を詠む時は、あまり俗な事柄は詠まない方が良いでしょう。

【18】旧姓もちやん呼びもあり宿浴衣

意味が不明です。

【33】蜷の道我が句の道を思ひけり

ちょっと分かりにくいでしょう。

【57】ワイパーの役に立たざる夕立かな

よくある表現です。

    次回も誌友の皆さんからの投句をお待ちしています。