2019年5月11日~2019年6月10日締切分

特選1
病鵜は別囲ひして鵜匠宿  篠原かつら

先日吟行した宇治川の中之島では、野生の鵜と人工的に育てられた鵜を別々の小屋で飼っていましたが、岐阜に住む作者なので、おそらく長良川の鵜だと思います。この句は病気の鵜は隔離されて飼われていることを詠んでいます。感染しないためにか、苛められないためにかは分かりませんが、鵜への愛情が伝わります。

特選2
噴水の不確かな芯天目指す  田島もり

噴水に芯があることを発見し、しかもそれを不確かだと詠んでいます。非常に若々しい発想でありながら表現力に熟練の技が伺える句です。下五の「天目指す」という詠み方も簡単なようで中々出て来ない表現です。選者として脱帽の一句です。

特選3
たとふれば竹の元服皮を脱ぐ  平田冬か

確かに竹が皮を脱いでゆく様子は竹の成長を表すものであり、掲句のように「竹の元服」と言われると思わずなるほどと手を打ってしまいたくなります。「羊の毛狩り」と同じく「竹皮を脱ぐ」ときちんと言わないと季語として認められませんので注意が必要です。

入選1
【10】裸婦像を囲む白薔薇瑞々し  朝雄紅青子

入選2
【36】涼しさや青畝の素描力みなく  木村由希子

入選3
【48】国原を眼下に青畝廟涼し  阿部由希子

入選4
【63】磨崖仏辺りの河鹿ことに澄む  広田祝世

入選5
【81】明石の門跨ぐ大橋月涼し  田島竹四

以下、次点句です。添削したものもあります。

【4】青畝師の学びし部屋に来て涼し  阿部由希子

【5】夏雲やフィヨルド穿つ大氷河   齋藤利明

【7】フォーク以てまた裏返し草を干す 平松文子

【20】下屋敷いまクリニック燕来る  中島 葵

【22】山法師くるくる回れ句のごとく 糸賀千代

【34】乳を飲む鹿の子の脚の細きこと 足立 恵

【35】短夜や短編探す駅書店     井野裕美

【43】花びらのごと幣浴ぶる夏越かな 小林恕水

【55】竿が舞ひ鰹も舞ふや土佐も沖  角山隆英

【72】書かれたる作法通りに新茶汲む 阪野雅晴

【77】どの名にも想ひ出ありて薔薇の園 大久保佐貴玖

【78】羽抜鶏現れさう青畝御生家に  古谷彰宏

【82】夏の夜の古刹に酔へるファドギター 迫田斗未子

【85】転々と影を求めて暑に耐ふる  竹本正竜

【91】宇治十帖何処にかはある落し文 小林久美子

【93】銅蓮の水溢れゐて堂涼し    長谷阪節子

【108】エンタシス撫づりて修す鑑真忌 足立 恵

【116】夕暮れの長堤茅花流しかな   壁谷幸昌

【122】マンハッタン路上バスケの裸身かな 野村親信

    次回も誌友の皆さんからの投句をお待ちしています。