2025年9月16日~2025年10月15日締切分
森田 純一郎選(新ウェブ句会より)
特選 三句
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34
そり橋の上に車座月の禰宜
平田冬か
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97
島を去る絵島の月を待たずして
広田祝世
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77
語り合ふチェロとピアノや秋灯下
村手圭子
秀逸 五句
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1
家並みのほんのり青く月明り
吉川やよい
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38
風を読み風を力に鳥渡る
吉浦 増
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63
濃紺の夢洲の海秋惜む
荻野隆子
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88
今日の月アンパンマンを描きたし
木村由希子
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114
展望所三つもある山鷹を待つ
稲垣美知子
特選 三句
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特選1
そり橋の上に車座月の禰宜
平田冬か
作者は今年の住吉大社の観月祭献詠俳句において天地人の地位にて表彰された。掲句は観月祭当日の大社の光景である。「月の禰宜」のひとことにより幻想的な一句となった
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特選2
島を去る絵島の月を待たずして
広田祝世
絵島は、淡路島北端の岩屋の東端に浮かぶ国生み神話の伝承地の一つである。淡路島を訪れた作者の絵島の上に上がる月を見ずに帰らねばならない無念さを詠んだ句である
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特選3
語り合ふチェロとピアノや秋灯下
村手圭子
「かつらぎ」創刊95周年記念大会において演奏したピアニスト門田和峻とチェリスト広田勇樹のデュオを作者と共に中之島公会堂で聴いた。掲句の通り、二つの楽器が語り合っているようだった
秀逸 五句
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秀逸1
【1】
家並みのほんのり青く月明り
吉川やよい
自分の目で見たままの光景を「ほんのり青い」と主情を交えて詠んだ幻想的な一句である
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秀逸2
【38】
風を読み風を力に鳥渡る
吉浦 増
作者自身が渡り鳥になった気持ちで詠まれた句である。渡り鳥達はこのようなことを本能的に行っているのだろう
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秀逸3
【63】
濃紺の夢洲の海秋惜む
荻野隆子
万博の終わった後の寂寥感を「濃紺の夢洲の海」と敢えて詠むことによって読者に伝える句となった
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秀逸4
【88】
今日の月アンパンマンを描きたし
木村由希子
NHKの朝ドラ「あんぱん」は終了したが、今も幼い子供達にとってアンパンマンは心の支えである
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秀逸5
【114】
展望所三つもある山鷹を待つ
稲垣美知子
展望所が三つもある山とはどこであろうか。いかにも鷹の渡りを見る絶好の場所だと分かる
入選
入 選 句
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【4】
雀減り案山子減りたる棚田かな
小林恕水
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【10】
さはやかに水上バスの水脈白し
阿部由希子
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【16】
十勝晴れ続くこの地に馬肥ゆる
古谷彰宏
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【19】
ロッジまで坂また坂の花野みち
宮原昭子
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【36】
赤い羽根付けんと黒の服を着る
広田祝世
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【47】
満願の杖奉納の秋遍路
小林恕水
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【54】
晩秋の夕日校舎を浮かべけり
角山隆英
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【56】
歩かねば教へてくれぬ道おしえ
近藤八重子
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【60】
身に入むや利休遺愛の楽茶碗
阿部由希子
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【68】
国中をかき消す霧の迅さかな
宮原昭子
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【70】
病窓は青きカンバス天高し
西本陽子
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【76】
鉢植ゑにただ一つ生る秋茄子
角山隆英
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【84】
偵察の蟷螂の顔よく動く
鳥居範子
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【95】
るり池の空もるり色天高し
糸賀千代
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【99】
揺れ止まぬままに暮れゆく薄原
大久保佐貴玖
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【108】
なにやかや賑はふ大社小鳥来る
吉川やよい
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【111】
小宇宙想ふ曜変秋灯下
阿部由希子
入選
佳 作 句
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【8】
街の灯の遠のく機窓銀河濃し
高橋宣子
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【13】
秋湿りファスナー重きペンケース
田島かよ
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【32】
嵯峨の茶屋時雨宿りに混み合へり
前田野生子
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【40】
薄雲の月の光の影淡し
栗原栄一
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【43】
ひたひたと舟屋浸すや葉月潮
斎藤利明
純一郎吟
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【31】
秋灯下梁塵秘抄読み返す
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【46】
偕老の言葉交はさぬ夜長かな
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【51】
チェロ無口ピアノ饒舌秋の夜
