
2025年8月16日~2025年9月15日締切分
森田 純一郎選(新ウェブ句会より)
特選 三句
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40
家事終はり花火の音も終はりけり
広田祝世
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61
底紅や海より暮るる淡路島
吉浦 増
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28
整然と藁ぼつち立つ神饌田かな
古谷彰宏
秀逸 五句
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10
数分の航の沼島に名残鱧
(・・・航にて沼島・・・)村手圭子
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38
音ほどに落つるものなし松手入
(・・・落ちる・・・・・・・)大久保佐貴玖
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89
散松葉松帆の浦にふかふかと
阿部由希子
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97
名園の松の手入れは舟に乗り
清水洋子
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105
何故かくも大回りする蟻の道
中島 葵
特選 三句
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特選1
家事終はり花火の音も終はりけり
広田祝世
家事を済ませる頃に遠く聞こえていた揚花火の音も止んだというだけの句である。淡々とした詠みぶりに惹かれる。この句においては通常良しとされない「も」が効果的である
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特選2
底紅や海より暮るる淡路島
吉浦 増
淡路島で白木槿、つまり底紅を見た。何となく儚い印象のある花である。取合せ句は成功しづらいが、この句の場合は中七の寂寥感と季語がよくマッチしている
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特選3
整然と藁ぼつち立つ神饌田かな
古谷彰宏
神饌田に円錐形の稲架が並んでいる光景を詠んだ句である。何事もきちっとした型を守って行われる神事と同様に神饌田の稲架もきちっと並べられるのだろう。藁ぼつちが微笑ましい
秀逸 五句
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秀逸1
【10】
数分の航の沼島に名残鱧
(・・・航にて沼島・・・)村手圭子
鱧で知られる沼島は淡路島本島から目と鼻の先だ。助詞を少しだけ変えた
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秀逸2
【38】
音ほどに落つるものなし松手入
(・・・落ちる・・・・・・・)大久保佐貴玖
よく見て作られた句である。特選にしたかったが、文法ミスが惜しい
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秀逸3
【89】
散松葉松帆の浦にふかふかと
阿部由希子
淡路島岩屋の松帆の浦の散松葉は絨毯のようだった。「ふかふか」に惹かれる
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秀逸4
【97】
名園の松の手入れは舟に乗り
清水洋子
見事な庭園を思う。池に張り出した松手入であろう。「舟」なので小舟と分かる
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秀逸5
【105】
何故かくも大回りする蟻の道
中島 葵
素直な疑問を詠んだ句。三尺の童にさせよという俳諧の極意がわかる
入選
入 選 句
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【11】
新蕎麦のほのと香れるそば湯かな
清水洋子
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【15】
薬師寺の幡揺らしゆく初嵐
荻野隆子
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【20】
大橋は幾何学模様秋うらら
田島かよ
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【22】
丸き背を丸め黒豆選りにけり
西岡たか代
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【26】
風の吹くたびに色づく実紫
木村由希子
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【35】
三姉妹しやべり通して墓洗ふ
荻野隆子
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【53】
盆栽の松にも及び松手入
前田野生子
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【57】
紅芙蓉おちよぼ口して咲き初むる
安田純子
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【69】
窓に顔映す夜長の列車かな
安田純子
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【74】
蟷螂の鎌上ぐ鬼の雪隠に
角山隆英
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【78】
何に向く砲台跡や草紅葉
荻野隆子
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【90】
潮入の隠沼の秋澄みにけり
森田教子
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【99】
父と母同乗し来る茄子の馬
近藤八重子
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【106】
踊唄終りなきかに続きけり
西岡たか代
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【110】
明日香風芋の葉の露こぼしけり
(芋の葉の露をこぼしぬ明日香風)平田冬か
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【112】
露草の瑠璃深めたる雨上がり
鳥居範子
入選
佳 作 句
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【50】
秋まつり子らの太鼓はロック調
栗原栄一
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【68】
若き日の傍線多き書を曝す
稲垣美知子
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【73】
型染の鮮やかな色涼新た
たなかしらほ
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【77】
木洩れ日の差すアトリエに風の色
阿部由希子
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【84】
朱雀門ぐるりめぐりて帰燕かな
斎藤利明
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【84】
避暑散歩レノンゆかりのカフェに入る
武田順子
純一郎吟
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【37】
明石の門潜りて土用波高し
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【60】
重力のままに瓢箪垂れにけり
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【102】
秋潮の江を高々と鳶舞ふ