2026年5月16日~2026年6月15日締切分

森田 純一郎選(新ウェブ句会より)

特選 三句

  • 89

    御所に入り御所を出で来る水涼し

    広田祝世

  • 86

    青葉木菟去年も今年も同じ枝

    糸賀千代

  • 102

    短夜やバールにワイン呑み明かす

    斎藤利明

秀逸 五句

  • 15

    牧童の背伸びして吊るハンモック

    古谷多賀子

  • 20

    もう仰ぐ高さとはなる立葵

    木村由希子

  • 83

    北野坂仰ぎ泰山木の花

    森田教子

  • 112

    今見えし島を隠して夕立来る

    峰村ひさ子

  • 113

    暑がりの夫の早めの更衣

    中内ひろこ

特選 三句

  • 特選1

    御所に入り御所を出で来る水涼し

    広田祝世

    京都御所には、御溝水と呼ばれる紫宸殿の東側を流れる水路に湧く清水がある。茶道や清酒作りにも欠かせないきれいな水は京都に欠かせない。水涼しという季語が非常によくマッチしているすっきりとした句である。

  • 特選2

    青葉木菟去年も今年も同じ枝

    糸賀千代

    人里近い低山の林や寺社の森などに、青葉の頃に南方から飛来するフクロウ科の夏鳥である青葉木菟はホーホーと物悲しく鳴く。今年も作者の近くに来たのだろう。発見がある句である。

  • 特選3

    短夜やバールにワイン呑み明かす

    斎藤利明

    バールとはイタリア語でアルコールなどの飲み物を立ち飲みする場所のことだ。日本にも最近こういう店が出来ている。ワインを飲みながら楽しむのだろう。短夜という季語の斡旋が良い句である。

秀逸 五句

  • 秀逸1
    【15】

    牧童の背伸びして吊るハンモック

    古谷多賀子

    情景が印象明瞭に伝わってくる。牧童という言葉が効果的な句だ。

  • 秀逸2
    【20】

    もう仰ぐ高さとはなる立葵

    木村由希子

    立葵は2〜3メートルの高さになる。成長の早さに驚く実感が伝わる。

  • 秀逸3
    【83】

    北野坂仰ぎ泰山木の花

    森田教子

    北野坂を望む神戸の街に咲く白い泰山木の花を詠んで、印象明瞭な句だ。

  • 秀逸4
    【112】

    今見えし島を隠して夕立来る

    峰村ひさ子

    今まで見えていた島をたちまちに隠すほどの激しい夕立の実感が伝わる。

  • 秀逸5
    【113】

    暑がりの夫の早めの更衣

    中内ひろこ

    暑がりのご主人は更衣も早くしたがるのだろう。作者と作中人物が明確に読者に分かる句である。

入選

入 選 句

  • 【8】

    大漁旗波止にはためく祭かな

    武田順子

  • 【11】

    流鏑馬の駆くる山道緑濃し

    吉川やよい

  • 【16】

    梅雨晴のスケッチまづは空を塗る

    田島かよ

  • 【21】

    大山をまなかひにして田を植うる

    西本陽子

  • 【25】

    白南風を招き入れたる異人館

    木村由希子

  • 【26】

    夏越し札貼りしばかりの鵜小屋かな

    村手圭子

  • 【32】

    鵜飼果て籠に眠れる荒鵜かな

    前田野生子

  • 【35】

    あめんぼう水底の水知らぬまま

    大久保佐貴玖

  • 【36】

    夏帽子脱ぎ白樺の風入るる

    中島 葵

  • 【41】

    プランター溢るるほどのパセリなる

    宮原昭子

  • 【49】

    百合の香を深く吸ひつつ三輪の里 

    角山隆英

  • 【55】

    マロニエの緑陰占拠絵筆取る

    高橋宣子

  • 【63】

    まだ絵筆下ろさぬ画布に緑さす

    たなかしらほ

  • 【68】

    単線の線路側にて袋掛け
    (・・・・・での・・・)

    安田純子

  • 【71】

    夕風に揺れてきらきら小判草

    中内ひろこ

  • 【74】

    月見草夕日まみれとなりにけり

    宮原昭子

  • 【80】

    夕端居献立ひとつ思ひつく 

    平田冬か

  • 【93】

    異人館坂に沿ひたる七変化

    森田教子

  • 【103】

    颯爽と過ぐる男の日傘かな

    清水洋子

  • 【107】

    紙芝居滑りの悪く梅雨深し

    西岡たか代

  • 【111】

    新緑や山懐に野外ミサ 

    荻野隆子

  • 【114】

    風鈴の音に干し物の揺れ止まず

    黒岩恵津子

  • 【116】

    蛍消え棚田の闇の濃かりけり

    糸賀千代

入選

佳 作 句

  • 【12】

    香水の空つぽの瓶転がれり
    (・・・っ・・・恋ひとつ)

    近藤八重子

  • 【22】

    蓮広葉裏に水かげろふ遊ぶ

    壁谷幸昌

  • 【31】

    母訪へば部屋に蚊遣火匂ひけり
    (蚊遣火の匂ふ施設の母を訪ふ) 

    月森こはぎ

  • 【43】

    舟もやひ水郷梅雨に入りにけり
    (・・・・・静か梅雨に入る)

    吉川やよい

  • 【48】

    素粒子のどうのかうのと明易し

    斎藤利明

  • 【53】

    若葉風業平橋をわたるとき

    森田教子

  • 【59】

    進水は満船飾や五月晴
    (五月晴満船飾の船進水)

    前川 勝

  • 【61】

    紫陽花に埋もるる寺を一列に
    (・・・・・・・・や・・・) 

    井野裕美

  • 【69】

    駅前を銀座と呼びて町薄暑

    前田野生子

  • 【76】

    ひとつ咲きひとつ散りたり花ざくろ

    岩見三七夫

  • 【85】

    煌めきて額花の蕊星のやう

    栗原栄一

  • 【88】

    異人館街ここからや氷旗 

    山崎圭子

  • 【97】

    つつがなく峠忌終ふる花は葉に

    吉浦 増

  • 【104】

    凱旋門抜け来る風にリラ香る

    高橋宣子

  • 【115】

    梅雨晴間人沸くやうな交差点

    田島かよ


純一郎吟

  • 【4】

    教会に咲いて泰山木白し

  • 【65】

    滝道に見上る空の小さきかな

  • 【109】

    改札のすぐ裏に滝新神戸