2018年4月1日~2018年4月30日締切分

特選1
渺渺の水郷水鶏月夜かな  小林恕水

渺渺とは広くて果てしのないことで、そのような水郷に夜水鶏を聞いたのでしょう。渺渺という一語によって非常に格調高い句となりました。

特選2
海の色なる御帷や鑑真忌  山本ヒロ子

6月6日は唐招提寺で鑑真忌が執り行われます。日本への渡海に何度も失敗、失明されて、遂に来日した鑑真和上に海の色の帷は相応しいです。

特選3
桜鯛跳ね糶台にをさまらず  武田順子

取れ立ての新鮮で生きの良い桜鯛は、糶台の上で跳ね回って収まり切らないというのです。綺麗なピンク色が目に浮かぶようです。

入選1
お教へは「じつと見る事」峠の忌  広田祝世

入選2
石狩は苫屋番屋の鰊漁  佐々木紫水

入選3
その足はパンタグラフよ水馬  近藤八重子

入選4
どうしてもモネ思ひ出す睡蓮花  田島もり

入選5
話の輪そつと抜け出し新茶くむ  前田秀峰

次に次点句を列記します。添削したものもあります。

【024】丸髷に花かんざしや桜どき   龍野ひろし

【031】言ふなれば左官仕事や燕の巣  山崎圭子

【034】今年また古き巣箱に雛育つ   古谷彰宏

【042】出で湯へとトロッコ電車風薫る  太田 明

【053】対岸へ五分の渡し彼岸寺   篠原かつら

【084】ウエスタン流れゐる牧仔馬駆く  稲垣美知子

【094】どの軒も玉筋魚炊くや浜の路地  斎藤利明

【096】まだ疎なる浮巣流るるかに動き  長谷阪節子

【102】黄砂にも紛れず天下布武の城  木村由希子

【105】皆帰りジャングルジムに雀の子  吉川やよい

【110】口動きづめなるキリン木の芽時  鳥居範子

【119】春の海海女おだ袋一杯に  中島幸子

【128】槍衾切つ先揃へ蘆の角   野村親信

【130】地震の跡残る大阿蘇麦青む  山下みつぐ

【148】老遍路ひとり離れて塔仰ぐ  迫田斗未子

【152】あぢさゐや姉妹ともども雨女  糸賀千代

【158】ペットボトル目印と立て汐干狩  古谷多賀子

【162】よく揺るる藤房に虻もぐりけり  村手圭子

【177】吾に似し羅漢のおはす樹下涼し  前田秀峰

【198】醒めるなと虚とは知りつつ春の夢  竹本正竜 

(・・・夢と・・・)

【199】双葉はやドクダミとして臭ひけり   平田冬か

【219】野外ミサ芝生に出でし地虫かな  中島 葵

【222】淋しさに句集を開く日の永し  阪野雅晴