2020年8月11日~2020年9月10日締切分

特選1
高原は宇宙の如し星月夜     田島かよ

高原のロッジに泊まった時に、外に出て夜空を見上げると満点の星が輝いていて宇宙に浮かんでいるような気持ちになったのでしょう。人工的な都会の光のない神秘的な高原の夜が脳裏に浮かぶようです。

特選2
鯖雲や青深みゆく茅渟の海   斎藤利明

茅渟の海とは大阪湾南部の海のことですが、それを青深みゆくと詠み、空に広がる鯖の斑紋のような雲との取り合わせによってスケール大きく詠んだ句です。チヌとサバを自然に一句に詠み込んでいます。

特選3
守宮の掌写楽のかの絵思ひけり 中島 葵

夜、家の窓に貼り付いた守宮の掌を見て江戸時代の絵師・写楽の描いた浮世絵の人間の掌を思うという驚くような発想の句です。多く句に詠まれている守宮も写楽に見立てられるとは思わなかったでしょう。

入選1
【42】ガレージへ行くだけのこと日傘さす 宮原昭子

母屋からガレージへ行く時にさえ、日傘が要るほどの今年の猛暑を思い出します。

入選2
【56】木曽馬の馬柵の果てたる花野かな 長谷阪節子

小型の木曽馬用の小ぶりな馬柵の途切れた辺りから花野が続いていたのでしょう。

入選3
【69】新涼や染付の皿卓にあり     和田公子

呉須を使って素地に藍色の絵模様を書いた染付の皿は涼新たな気分にさせてくれます。

入選4
【126】肌白きフジタの女涼新た     木村由希子

藤田嗣治の描いた女性の肌の白さに作者は新涼を覚えたのでしょう。

入選5
【130】顔を拭ひやるやう墓洗ふ     山崎圭子

墓洗ふの句は多いですが、顔(かんばせ)を拭いやるという表現は珍しいです。優しさが伝わります。

以下、次点句(添削句もあります)

【8】巡回の了りて仰ぐ星月夜      迫田斗未子

【9】コスモスの子の迷路にはよき高さ
    (子の迷路には良き高さ秋桜) 角山隆英

【16】トラックの窓に足出し三尺寝   壁谷幸昌

【18】絵日記に描く朝顔日々数ふ
   (絵日記の朝顔数ふ日課かな)  野村親信

【19】遠島の島守めける案山子かな   小林恕水

【25】堰の板飛ばし一気の落し水    野村親信

【28】子規庵の程よき数の糸瓜かな   壁谷幸昌

【31】泥飛ばし悩みもとばし牛蒡抜く  大久保佐貴玖

【35】捻花や人生いつも遠回り     糸賀千代

【37】頭までびしよ濡れにして水遊び  木村由希子

【45】夕ふぐれはすこし急ぎて柳散る  大久保佐貴玖

【48】見つけられちよと恥づかしげ思草 黒岩恵津子

【75】己が影抱くかに止まる糸とんぼ  平田冬か

【80】桐一葉波紋静かに広がれり    田島かよ

【85】湯治場の客は早寝や銀河濃し   糸賀千代

【99】鎮魂の文字を灯せる紙灯籠    宮原昭子

【105】新しみ詠むをモットーホ句の秋 清水洋子

【110】葛の花踏む山の辺の道逸れて  村手圭子

【115】翡翠の来て整ひぬ池の景    阪野雅晴

【117】峡深し氾濫の如天の川     近藤八重子

【134】終着のホームに仰ぐ今日の月  迫田斗未子

【136】合掌のさまに転がる蝉の殻   木村由希子

【138】言葉尻少し怪しくなる残暑   中野勝彦

【新ウエブ句会投句者の皆様へ】
「夏雲」システムを導入し、新たにHP自体も刷新して初めてのウエブ句会の選句、選評を出します。互選の締切時間が夜中の11時45分で、それからしばらくしないと全部の作者名が出ないので、繁栄舎印刷に送って縦書きの特選句・入選句にしてもらい、次点句にも作者名を入れて発表するのは深夜1時ごろになってしまいます。 選者である主宰の私にはハードなシステムですが、しばらく頑張ります。時間的なこともあり、今回の選句選評は作者名が一切分からない状態で行いました。従いまして、皆様の互選での高得点句がどれかなどをチェックしている余裕は全くありませんでした。試行錯誤しながらやって行きたいと思います。
取り急ぎ 以上です
9/30(水) 午前0時45分
かつらぎ主宰 森田純一郎