2018年9月11日~2018年10月10日締切分

特選1
実をつけしままの倒木台風禍   小林久美子

単に台風が過ぎ去り、浜などに大きな気が倒れているという光景を詠んだだけならば、 平凡な句に終わってしまいますが、この句のポイントは「実をつけしまま」という所です。 遠くからも目立つ赤い実をつけたまま無念にも大木は倒されてしまったのでしょう。

特選2
ごんぎつね隠れてゐさう曼珠沙華   本多亢子

児童文学の名作である「ごんぎつね」の中に、こぎつね「ごん」が葬式の列を お地蔵さまの陰に隠れて見ているという場面があります。葬列の通った後には 彼岸花が踏まれ折れていたのです。別名「死人花」とも呼ばれる曼珠沙華の 美しいけれど毒々しい赤が眼裏に浮かんで来るような一句です。

特選3
病とて楽しむべしと子規祀る   中島 葵

子規は、結核が元でカリエスという骨が徐々に侵されてゆく病気に苦しみましたが、 枕元で句座を囲み、常に前向きに生きました。自分の病気を客観視して詠むなど、 現代人にも病気を抱えながらでも人生を楽しみなさいと教えてくれたような気がします。

入選1
【41】すれ違ふ時の犬の眼猟夫の眼  小林恕水

入選2
【51】つひに堰のぼりきつたる小鮎かな  武田順子

入選3
【70】開かれし句碑に早速小鳥来る  平田冬か

入選4
【100】君在さば如何に詠まれん今日の月  平松文子

入選5
【110】けふの空青過ぎるやも鷹を待つ  村手圭子

【14】水音の絶えぬ庭園小鳥来る   広田祝世

【19】笄を仕上げに挿しぬ祭髪    平松文子

【34】昼の虫鳴く踏切を寿福寺へ   古谷彰宏

【40】長汀に芥あくたや台風禍    篠原かつら

【44】切株に新芽の伸ぶる苅田かな  巻木痺麻人

【52】朝顔の藍にこだはり奈良格子  斎藤利明

【59】寝入る子の頰に飯粒在祭    阿部春代

【60】鮎の簗流されたれど茶屋混める 古谷多賀子

【65】逸る馬尻込む牛や時代祭    内田あさ子

【73】角伐られよろめくままに鹿走る  足立 恵

【81】谺する添水の音や切通し    長谷阪節子

【86】翁の忌いまも尚ある光堂    前田野生子

【91】捩花の捻れの妍を競ひたる   朝雄紅青子

【97】その中に案山子に似たる人歩く 前川 勝

【101】母に背を押され出番や村芝居  糸賀千代

【106】カーナビに無き道ゆけば豊の秋 阿部由希子

【113】小人住む如しとんがり屋根の稲架(小人の家如〜) 井野裕美

    次回も誌友の皆さんからの投句をお待ちしています。