2025年10月16日~2025年11月15日締切分

森田 純一郎選(新ウェブ句会より)

特選 三句

  • 63

    手箒をもて落葉掃き終りとす

    宮原昭子

  • 29

    薪小屋に吊るは真つ赤な唐辛子

    古谷多賀子

  • 110

    定位置の座布団くぼむ冬籠

    清水洋子

秀逸 五句

  • 14

    ミャクミャクと万博惜しみ秋惜しむ

    たなかしらほ

  • 20

    秋雨や小首傾ぐる天使像

    鳥居範子

  • 51

    吊し柿揉みて仕上げを確かむる

    古谷彰宏

  • 65

    時雨傘大劇場の橋渡る

    森田教子

  • 109

    サンルーム広々とある冬館

    中島 葵

特選 三句

  • 特選1

    手箒をもて落葉掃き終りとす

    宮原昭子

    落ち葉を掃いていて最後に手で細かい葉などをきれいにしたのだろう。地味で目立たない句だが、作者の気持ちが伝わってくる。これが写生句にとって大切な深み、味わいだと思う

  • 特選2

    薪小屋に吊るは真つ赤な唐辛子

    古谷多賀子

    薪を積み上げた小屋の外に唐辛子を干していたことを詠んだだけの句であるが、「真つ赤な」という一言により、鮮やかな色彩が読者に伝わって来る。印象明瞭な写生句である

  • 特選3

    定位置の座布団くぼむ冬籠

    清水洋子

    家長の座る場所は大体決まっていて、そこに置かれた座布団の真ん中は凹んでいるのだろう。座布団のくぼみに目を付け、定位置という言葉を使ったことで成功した冬籠りの句だ

秀逸 五句

  • 秀逸1
    【14】

    ミャクミャクと万博惜しみ秋惜しむ

    たなかしらほ

    秋になって終わってみると万博を惜しみたくなる。今年の句だと分かることが良い

  • 秀逸2
    【20】

    秋雨や小首傾ぐる天使像

    鳥居範子

    長く降り続く秋雨に濡れた天使の像が首を傾げている様子は何かしら寂しさを感じさせる

  • 秀逸3
    【51】

    吊し柿揉みて仕上げを確かむる

    古谷彰宏

    干柿にするために吊るしてある柿の仕上り具合を揉んで確かめているのだ。実感が伝わる

  • 秀逸4
    【65】

    時雨傘大劇場の橋渡る

    森田教子

    時雨の中を宝塚大劇場へ繋がる宝塚大橋を渡る歌劇ファンの傘が連なっていたのだろう

  • 秀逸5
    【109】

    サンルーム広々とある冬館

    中島 葵

    広々としたサンルームのある志賀直哉の旧居を思う。今はサンルームは季語としていない

入選

入 選 句

  • 【9】

    今日家居できる幸せ布団干す

    中島 葵

  • 【24】

    小春日や裏側を読む青畝句碑

    清水洋子

  • 【28】

    仏間まで届く香りや松手入

    近藤八重子

  • 【30】

    寒灸よもぎの匂ひなくもなし
    (・・・・・・い・・・・・)

    広田祝世

  • 【33】

    一力と判る赤塀月冴ゆる

    森田教子

  • 【38】

    湾またぐブルーブリッジ鳥渡る

    壁谷幸昌

  • 【53】

    お舟入跡の雁木の露けしや

    稲垣美知子

  • 【60】

    湯気に箸差して取り出すおでん種

    大久保佐貴玖

  • 【62】

    リコーダー復習ふ子らゐて冬うらら

    中内ひろ子

  • 【66】

    帝陵の森の広きに小鳥見ず

    高橋宣子

  • 【68】

    皓々と大き月降る長谷舞台

    角山隆英

  • 【72】

    腹と胴さすられ馬の肥えにけり

    荻野隆子

  • 【77】

    夕間暮れまだ見えてゐる紅葉の朱

    村手圭子

  • 【78】

    選評の簡にして要爽やかに

    吉浦 増

  • 【82】

    不即不離とはこの距離か夫婦鴨

    木村由希子

  • 【85】

    三句碑を守る獅子吼園冬うらら

    阿部由希子

  • 【93】

    着水の鴨ブレーキを踏むやうに
    (ブレーキを踏むやうに鴨の着水)

    山崎圭子

  • 【102】

    店頭の杉玉青く新走り

    角山隆英

入選

佳 作 句

  • 【1】

    こつぱグレ猫に投げやり波止小春

    安田純子

  • 【3】

    延縄を捌く人形文化の日

    前川 勝

  • 【4】

    古民家の縁にこよなき冬日かな

    斎藤利明

  • 【25】

    冬落暉テールライトの延々と
    (帰路につく------に冬落暉)

    栗原栄一

  • 【26】

    雪吊や風に唸れる鋼の音

    大久保佐貴玖

  • 【32】

    蟷螂や一人勤務の一玻璃に 

    武田順子

  • 【36】

    かくも煤けし古民家の白障子

    黒岩恵津子

  • 【39】

    マフラーは流行色と決めにけり

    田島かよ

  • 【45】

    皆主役子ども狂言文化の日

    西岡たか代

  • 【48】

    何やかや干す馬場の柵冬日和
    (馬場の柵何やかや干せる---)

    平田冬か

  • 【69】

    木枯や人間嫌ひなりし人

    吉川やよい

  • 【86】

    青空のかの一点はきつと鷹

    宮原昭子

  • 【87】

    冬籠り句会だけへは休まずに
    (句会だけは休まずに行く冬籠)

    糸賀千代

  • 【96】

    通学路桜紅葉の道となり 

    井野裕美

  • 【105】

    芭蕉忌の読経ひびくや獅子吼園
    (・・・・・のひびく・・・苑) 

    小林恕水


純一郎吟

  • 【11】

    駅の名も緑地公園天高し

  • 【43】

    可惜夜の花見小路に月高し

  • 【90】

    三冊子説きし昂り新酒干す