
2020年12月16日~2021年1月15日締切分

コロナウイルスの感染が続き、大都市に住む俳人は吟行へも句会へも行けず、ストレスが溜まりっぱなしです。「かつらぎ」では、この新WEB句会、インターネット句会、ズーム句会などを通じて少しでも俳句に親しむ機会を作り続けたいと思っています。今年もよろしくお願いします。
かつらぎ主宰 森田純一郎
特選1
グレコ逝く枯葉のときを待つごとく(如く) 内田あさ子
「枯葉」で有名な仏シャンソン歌手・ジュリエット・グレコさんが昨年9月23日に亡くなりました。そのことをタイムリーに捉えて、枯葉という季語を斡旋した極上の一句と言えるでしょう。ごとくはひらがなにした方が良いと思います。
特選2
空と海しづかに分かれ初茜 大久保佐貴玖
初茜、つまり元日の明け方に現れる明かりのことを詠んだ句です。一瞬見逃してしまいそうな地味な句ですが、「しづかに分かれ」という表現に作者の詩人としての才を感じる一句です。
特選3
マンションの際の際まで慈姑掘る 広田祝世
水田に栽培される慈姑は、宅地開発で一時減少した地域においても今はまた吹田慈姑などの新たな名産品として復活しているそうです。マンションの際の際という表現が巧みです。
入選1
【21】日本人今し宇宙に冬銀河 鳥居範子
昨年11月、冬の夜空に打ち上げられた国際宇宙ステーションに搭乗する野口飛行士を詠んだ時事句です。
入選2
【52】裏返し置きある如露や室の花 巻木痺麻人
フレームの中で花に水をやった後に如雨露が裏返して置かれていることを詠んだ写生句です。光景が伝わります。
入選3
【87】パソコンのフォルダ移動も年用意 森田教子
現代社会に生きる我々にとっては、パソコンの中のフォルダーの整理も年用意の重要な仕事の一つでしょう。
入選4
【109】青き地球想ふ表紙絵読始む 山崎圭子
今年の「かつらぎ」の表紙を詠んでくれたのでしょう。世界中に澄み切った空気が戻ることを心から祈ります。
入選5
【148】去年今年わたしの時間見つからず 田島かよ
仕事も持つ主婦の句だと思います。去年今年という季語の現代的な詠まれ方だと思いました。