2018年10月11日~2018年11月10日締切分

特選1
猪垣の中に猪垣して住める  平田冬か

言葉の表現が面白いので取った句ですが、猪垣を二重にして、その中に住むとは一体どんな所なのだろうかと想像したくなります。よほど凶暴な猪が田畑を荒らすのでしょうか?最近は山中に餌がなくなって、熊や鹿も人家のある辺りにまで出没して問題になっています。自然との共生を考えさせられる一句でもあります。

特選2
アイロンの仕上げ上々障子貼   西本陽子

都会のマンション暮らしが多くなった今は、和室の障子の貼り替えも家庭用の張り替えセットなどがホームセンターで売られており、それを使って自分でする人もいるそうです。私は時間がなく、とてもできませんが、作者のご家庭ではアイロンを使って障子の貼り替えをするのでしょう。うまく仕上がった喜びが伝わる句です。

特選3
牧閉ざす最後の牛の尻を押し   西岡たか代

これも面白い句です。冬に入る前に、それまで牧場で放牧されていた牛たちは預け主のところへ返されてゆきます。作者は、牧場の柵を閉じて牛たちを移動用のトラックの荷台に乗せる所を見てこの句を作ったのでしょうか。中々人間の思うように動いてくれないのんびりした牛の大きなお尻を押している様子が分かり愉快です。

入選1
【13】平成の最後の年の日記買ふ  前田野生子

入選2
【72】階段がポインセチアの鉢の数  近藤八重子

入選3
【84】審査待つ間にも手入れや菊花展  木村由希子

入選4
【102】大根引く大地の匂ひ引きずりて 大久保佐貴玖

入選5
【109】バスの来る方を見る皆着ぶくれて
   (着ぶくれの皆バスくる方見てをりぬ) 中島 葵

【3】ピンセットそれも道具や菊花展   篠原かつら

【5】赤とんぼ懺悔を終へし身に群るる  木村由希子

【7】吊られたる鮟鱇磔刑ふと思ふ    中島 葵

【21】裂け足りず枝に踏ん張る柘榴の実  阿部由希子

【27】折取りし御所柿の葉はまだあをし  巻木痺麻人

【30】帰り花一つ見つけてまた一つ    小林久美子

【34】決め台詞忘れ喝采村芝居      前川 勝

【44】小六月とんてんかんと村鍛冶屋   阿部春代

【53】掃き寄せつ柿の落ち葉の色を愛づ  玉田ユリ子

【55】邯鄲に非ずや一声もて終る     田島竹四

【57】園児らの跳ねて転びて天高し    中野勝彦

【59】源氏詠む晶子のテープ館涼し    平松文子

【60】偕老の顔会はせずも冬耕す     大久保佐貴玖

【66】結袈裟の緋よりも紅葉濃かりけり  糸賀千代

【68】蛇崩れの肌剥き出しに山眠る    朝雄紅青子

【71】御師の宿虫の宿とはなりにけり   古谷彰宏

【76】浅草に来て紛れ込む酉の市     迫田斗未子

【78】あばれ山車今日が最後とあばれをり  阪野雅晴

【90】賤ケ岳より走りくる時雨かな    平田冬か

【91】さやけしや山内入れば寺宝展    和田容子

【92】按摩器を置く一部屋や寒造     武田順子

【97】秋の蝶低き首塚越えられず     広田祝世

【98】火伏せ神在す鍛冶屋や冬日和    阿部春代

【104】落葉踏む音の楽しく山路行く   篠原かつら

【105】軸替ふることより始め冬支度   角山隆英

【111】継ぎはぎの判る障子や坐禅堂   古谷彰宏

【112】一塊のマグマの如き照紅葉    阪野雅晴

【113】僧院にワイン工房蔦紅葉     齋藤利明

【117】会心の出来とは言へず障子貼る  竹内万希子

    次回も誌友の皆さんからの投句をお待ちしています。