2025年7月16日~2025年8月15日締切分

森田 純一郎選(新ウェブ句会より)

特選 三句

  • 75

    火取虫村の鎮守のござがえ祭

    前川 勝

  • 25

    水の精ゐるかに弾み滴れり

    田島かよ

  • 50

    バードショー最中の空を鳥渡る

    広田祝世

秀逸 五句

  • 12

    雪渓の迫りて細る梓川

    高橋宣子

  • 66

    神山の黒々として星月夜 

    西岡たか代

  • 86

    今一度山荘見遣る避暑名残

    宮原昭子

  • 96

    行人は釣人を見て蓮を見ず 

    前田野生子

  • 104

    形代にたつぷり息を吹きかけぬ
    (・・・・・・・・・・・・り)

    鳥居範子

特選 三句

  • 特選1

    火取虫村の鎮守のござがえ祭

    前川 勝

    ござがえ祭とは、淡路島の松帆神社の大神様の御神座の茣蓙をお取り替えする神事だそうだ。夜店がメインイベントの祭らしいが、さぞや火取虫も多く飛び交うことだろう。風土に根ざす句は良いものだ

  • 特選2

    水の精ゐるかに弾み滴れり

    田島かよ

    宇治の琴坂を思う。雨の降った翌朝には羊歯から豊かに滴りが落ちる。約八百年前に道元禅師によって開かれた最古の曹洞宗寺院である興聖寺に続く琴坂には水の精がいるように感じられる

  • 特選3

    バードショー最中の空を鳥渡る

    広田祝世

    神戸どうぶつ王国では珍しいインコの空中飛行ショーが見られる。飼い慣らされたインコたちが飛行しているその時に遥か上空を鳥が渡ったのだろう。雄大な光景を想像することができる句だ

秀逸 五句

  • 秀逸1
    【12】

    雪渓の迫りて細る梓川

    高橋宣子

    上高地の梓川の水は厳しい環境規制により素晴らしい鮮度だが、雪渓の迫る様子は是非一度見たい

  • 秀逸2
    【66】

    神山の黒々として星月夜 

    西岡たか代

    三輪山のような神の山を思う。満天の星空の下に神なる山は黒々と鎮まり、横たわっているのだろう

  • 秀逸3
    【86】

    今一度山荘見遣る避暑名残

    宮原昭子

    夏休みの間、避暑のために滞在した山荘を去る時、また来年も来ることを約し、もう一度山荘を見るのだろう

  • 秀逸4
    【96】

    行人は釣人を見て蓮を見ず 

    前田野生子

    蓮池の前を通る旅行者たちは釣人の釣果には興味を示すが、蓮には目を向けない。面白い視点の句だ

  • 秀逸5
    【104】

    形代にたつぷり息を吹きかけぬ
    (・・・・・・・・・・・・り)

    鳥居範子

    名越の祓の時に人の形に切った紙に名を書き川へ流すのだが、願いを籠めて思い切り息を吹きかけたのだろう

入選

入 選 句

  • 【3】

    大利根に近き水郷糸蜻蛉

    古谷彰宏

  • 【5】

    出来秋や過疎地に居着くコフノトリ 

    黒岩恵津子

  • 【8】

    檜の香満ちゐる登山電車かな

    広田祝世

  • 【9】

    俯ける人魚の像に晩夏光 

    木村由希子

  • 【20】

    斑猫に置いてきぼりをくらひけり

    糸賀千代

  • 【22】

    梅花藻を梳く湧水の豊かなる

    山崎圭子

  • 【29】

    滴りの影ごと早瀬へと消ゆる

    田島かよ

  • 【31】

    窓の外に蝦夷鹿来たる避暑ホテル

    宮原昭子

  • 【32】

    瀬音聞き鳥声を聴き避暑散歩

    武田順子

  • 【38】

    ある時は千々に砕ける湖月かな 

    小林恕水

  • 【39】

    透きに透く富士の湧水川藻刈る 

    古谷多賀子

  • 【41】

    盂蘭盆の僧にこやかに急ぎけり 

    西本陽子

  • 【43】

    少年の眸の阿修羅秋澄めり 

    斎藤利明

  • 【45】

    感動今書き留めねば星流る 

    吉浦 増

  • 【46】

    秋風や振り向かないと決めつつも 

    大久保佐貴玖

  • 【47】

    見はるかす向日葵の野やウクライナ

    植松順子

  • 【51】

    蒟蒻になりたる気分ハンモック

    中島 葵

  • 【56】

    ひと扇ぎまたひと扇ぎ夏の蝶

    栗原栄一

  • 【57】

    流し踊り過ぐれば真闇風の盆

    清水洋子

  • 【58】

    目に涼しほとばしる瀬に触れずとも

    平田冬か

  • 【65】

    緑蔭や古代住居に思ひ馳す

    前田野生子

  • 【67】

    陵の奥に消えゆく夏の蝶

    鳥居範子

  • 【68】

    絵本の絵のやうな毛虫注意札 

    山崎圭子

  • 【69】

    逝く母の瞼に涙夏炎ゆる

    阿部由希子

  • 【70】

    軒々に風鈴さがる町屋かな 

    近藤八重子

  • 【82】

    湯上がりの足投げ出して夜半の夏 

    西岡たか代

  • 【83】

    蜘蛛の網いつもこの途阻むかに

    稲垣美知子

  • 【85】

    新涼や白杖を手に吟行す

    古谷彰宏

  • 【92】

    杣道となるより急に草いきれ

    角山隆英

  • 【99】

    炎天や吾を吸ひ込まむ己が影

    栗原栄一

  • 【102】

    ボンネットバスの巡回避暑の町

    高橋宣子

  • 【106】

    引き剝がすごとく脱がせり汗のシャツ 

    近藤八重子

  • 【107】

    蟻地獄ぢつと見てゐるわれ非情
    (・・じっと・・・・・・・・)

    稲垣美知子

  • 【111】

    分水は田んぼの宝水の秋 

    阿部由希子

  • 【112】

    音絶えしごとき亭午や街薄暑

    大久保佐貴玖

  • 【113】

    すべて色集めゐるかの大花野

    黒岩恵津子

入選

佳 作 句

  • 【13】

    夕立に濡れ行く男子反抗期

    中内ひろこ

  • 【17】

    映像はガザ長崎の原爆忌

    森田教子

  • 【30】

    家事疲れ少し癒やさん籠枕

    糸賀千代

  • 【33】

    むつつり屋なる彼踊り上手とは

    宮原昭子

  • 【35】

    目地に沿ひ静かに長し蟻の列

    稲垣美知子

  • 【42】

    恐竜が的とは嬉し水鉄砲 

    山崎圭子

  • 【53】

    滴りのこれは俳句のリズムかな

    田島かよ

  • 【54】

    秋うらら猿石亀石石舞台

    斎藤利明

  • 【61】

    日時計の灼けに灼けたる亭午かな
    (亭午の日時計触るれば灼けに灼け)

    壁谷幸昌

  • 【103】

    バトラーが乙女座語る露台かな

    古谷彰宏


純一郎吟

  • 【10】

    今年また宇治を訪ひたる夏期講座

  • 【80】

    何やかや吊るしキャンプの果てにけり

  • 【114】

    たちまちに乾きゆく墓洗ひけり