
2025年2月16日~2025年3月15日締切分
森田 純一郎選(新ウェブ句会より)
特選 三句
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4
蜆舟舳先を高く戻りけり
吉浦 増
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59
地平線丸きサバンナ枯れ知らず
高橋宣子
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113
石灰の馴染みていよよ春の土
安田純子
秀逸 五句
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35
長居せし酒場を出れば春の雨
栗原栄一
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66
小岩井の馬柵にとばしる春の泥
斎藤利明
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74
沼杉の気根に冬日届かざる
鳥居範子
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76
縫ひ上げしドレスに早も春の塵
広田祝世
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117
山の宿トイレの水は雪解水
中島 葵
特選 三句
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特選1
蜆舟舳先を高く戻りけり
吉浦 増
蜆の大量を誇るかのように舳先を高く上げて帰港する船を詠んでいて情景がよく伝わる写生句です。
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特選2
地平線丸きサバンナ枯れ知らず
高橋宣子
広大なサバンナの地平線は丸く、豊かな草原は動物たちの貴重な命の源なのです。海外詠の良さがあります。
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特選3
石灰の馴染みていよよ春の土
安田純子
春耕の際に土壌をアルカリ性にするために石灰を撒きますが、それがほどよく馴染んできたのでしょう。
秀逸 五句
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秀逸1
【35】
長居せし酒場を出れば春の雨
栗原栄一
こういう経験はあるので共感出来る。春の雨という季語により何となく気怠い雰囲気が伝わって来る
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秀逸2
【66】
小岩井の馬柵にとばしる春の泥
斎藤利明
数年前に家族旅行をした小岩井農場を思い出す。雪解けの春泥を馬たちも喜んでいるのだろう
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秀逸3
【74】
沼杉の気根に冬日届かざる
鳥居範子
沼杉は名の通り沼の周辺に生えており、大樹の下に出て来る気根には冬日が届かないのだろう
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秀逸4
【76】
縫ひ上げしドレスに早も春の塵
広田祝世
今年の黄砂は特にひどい。縫い上げたばかりのドレスにも春塵が付いていたのだ
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秀逸5
【117】
山の宿トイレの水は雪解水
中島 葵
登山宿では、トイレに流れる水も雪解水を使っていることだろう。冷たさまでが伝わって来る
入選
入 選 句
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【13】
今朝置きしばかりの追肥春の雨
木村由希子
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【17】
春宵や折雛置かる予約席
黒岩恵津子
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【28】
鶯や雨の摩耶山天上寺
小林恕水
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【38】
二合目の雪間雪間に遭難碑
古谷彰宏
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【39】
津軽線終着駅の春暖炉
高橋宣子
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【40】
紅白の馬酔木の揺るる茶室かな
森田教子
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【42】
親し気に寄りくる鹿や古都うらら
黒岩恵津子
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【43】
触れずともやはらかさうや柳の芽
木村由希子
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【48】
縁側の華やいでゐる梅日和
森田教子
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【50】
雪解水衝立岩に響きをり
古谷彰宏
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【52】
春の風稚の和毛を撫でゆけり
西本陽子
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【67】
柳の芽風くしけづりくしけづり
前田野生子
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【70】
懐かしい方に会ふやに雛飾る
村手圭子
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【101】
北窓を開きて一歩踏み出せり
たなかしらほ
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【104】
春水に顔を映せば鯉寄り来
稲垣美知子
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【107】
まどろみにスタッカートの初音かな
吉川やよい
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【115】
ゐぬ人を偲べる句座の冴返る
西本陽子
入選
佳 作 句
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【9】
生飯投げの放物線や修二会僧
吉川やよい
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【16】
雛流しくるりと回る桟俵
西本陽子
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【19】
永き日や悠々自適といふ無聊
近藤八重子
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【55】
闇に描く絵筆のごとしお松明
荻野隆子
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【60】
棘ならず読点ほどの薔薇の芽
山崎圭子
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【71】
高からぬ枝より零れ雀の子
木村由希子
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【73】
お客様お見えですよと雛に告ぐ
村手圭子
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【98】
比良八荒波の洗へる大鳥居
小西俊主
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【108】
この水と生きて半生紙を漉く
吉浦 増
純一郎吟
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【22】
バーおぼろ聴くはディランのしやがれ声
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【33】
春寒しシネマに唄ふボブディラン
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【81】
火酒とはウォッカのことや外は吹雪