毎月月末締切のインターネット句会の選句結果を発表する頁です。

かつらぎ副主宰の平田冬か先生、村手圭子先生のお二人の交代で
選句をして頂きます。

特選3句、入選5句、次点句も加えて、毎月15日を目処に発表します。

俳句は初めての方、まだ結社に属しておられない方も、かつらぎの写生句
(心にひびく写生)に触れて頂けましたら幸いです。

2022年6月1日~2022年6月30日締切分


= 平田 冬か 選 =

特選3句

【014】合歓の花のみに触れゆく風のあり     中島 正幸

刷毛のように繊細な合歓の花がわずかにそよいでいます。まるでそこにだけ風が 吹いているように。細やかな捉え方が合歓の花にふさわしく思います。

【011】糊利きし白衣に年季鱧さばく       片桐 祥風

糊のきいた板前さんの白衣は清潔感があります。骨切等の鱧さばきの腕は言わずもがなでしょう。

【076】水底の笑顔と出会ふ泉かな        村手 圭子

覗き込みたくなるような泉に出会いました。一瞬水底の笑顔に出会い、 それが自分のものと気づかずに微笑み返したのかも知れません。

入選5句

【140】乗り換へて同郷と会ふ帰省かな       清水 洋子

帰省するために乗り換えた在来線。その車中で同郷の人物に出会いました。 帰省の気分が一気に盛り上がりそうです。

【055】鵲と言ふ町にあり星今宵          糸賀 千代

たまたま星合いの夜に来合わせた旅の町でしょうか。鵲という町の名に惹かれます。

【061】はまなすや今も岬に鎮魂歌         片桐 祥風

何かの鎮魂のための歌碑が立っている北国の岬でしょう。はまなすの花が 象徴的それとなく効果的に働いています。

【079】正座して井目置きて敬老日
   「正座して井(せい)目(もく)置ける敬老日」  前田 秀峰

そういえば囲碁を打つ人は姿勢よく端坐して碁盤に向かっています。 敬老の日でありながらも、常と同じように囲碁を楽しんでいらっしゃる老人を思いました。

【099】浮かぶまま雲も動かぬ炎暑かな
     浮かぶまま雲動かざる炎暑かな       稲垣 美知子

雲が動かないほどの炎暑と言っています。雲が動かないのは上空に風がないからでしょう。 雲以外にも動かないものが見えて来ませんので「雲も」の「も」は省きました。


その他捨てがたき作品

【132】散文より韻文が好き星祭る          糸賀 千代

【047】夕さりて際立つ白さ半夏生 添削あり     中内 ひろこ

【075】仁王像足のかたへに蟻地獄          小林 恕水

【082】泰山木空に大盃揚げけり  添削あり     新實 香代子

【103】母に寄る鹿の子斑の鮮やかに         斎藤 利明

【107】黙礼の誰ぞ行き過ぐ宵涼み          高原 ひろし

【113】烏賊釣火但馬の沖にちらちらと        中内 ひろこ

【141】親鳥の促し通す巣立かな           広田 祝世

【142】断崖に口づけをして清水吸ふ         小林 恕水

【145】土蔵今展示館なり夏暖簾           篠原 かつら

【157】雷鳴の波紋となりし山湖かな         龍野 ひろし


最後の選句をさせていただきました。「かつらぎ」のネット句会ですが、結社を越えた多くの方の 作品に出合い自分の勉強にもなりました。 長い間ご参加いただき本当に有り難うございました。 なお、この機会に「かつらぎ」にて俳句をお続けいただければ嬉しく存じます。 お問い合わせをお待ちしております。  平田冬か