毎月月末締切のインターネット句会の選句結果を発表する頁です。

かつらぎ副主宰の平田冬か先生、村手圭子先生のお二人の交代で
選句をして頂きます。

特選3句、入選5句、次点句も加えて、毎月15日を目処に発表します。

俳句は初めての方、まだ結社に属しておられない方も、かつらぎの写生句
(心にひびく写生)に触れて頂けましたら幸いです。

2019年9月1日~2019年9月30日締切分


= 村手 圭子 選 =

特選3句

【021】灯台の官舎は無人木の実降る   清水 洋子

木の実が官舎の屋根を打つ音が聞こえてきそうだ。官舎のあたりの静けさが伝わる。

【025】どちらかといへば紅へと萩の蝶  平田 冬か

写生句というものは、どこかで止まってしまうことがある。 この句、「どちらかといへば」にゆとりのようなものがある。ゆったりと揺らぐ萩、ゆったりと舞う蝶が見えて来る。

【045】一島の三十六戸星月夜     山下 みつぐ

島一つに三十六戸がお住まいである。小さな島だろう。 夜空には満天の星がきらきらと美しい。これも静かな景。

入選5句

【028】厨の火落とせばちちろ鳴きはじむ  中内 ひろこ

「火を落とす」とは灯を消すことだろう。昔なら竈の火を落 とすかもしれない。後者のほうが情緒があって良いかな。 闇にちちろが鳴きだした。

【055】壁に貼る掃除当番馬肥ゆる     阪野 雅晴

吟行にでかけて見つけた小さな発見。吟行ならではのうれし さ。掃除当番表である。きれいに掃除された厩舎で馬は気持ち よく肥える。秋本番である。

【057】碑にもたれて萩の花盛り      栗林 通子

「もたれて」という表現に少し主観が覗く。たわわなる萩に もこの碑にも暖かい気持ちで詠まれていることがわかる。

【087】熊野灘見渡す天の高きかな     前田 秀峰

紀伊半島の最南端。ここで太平洋に向かって立つと、きっと こんな感じがするだろう。自分がそこに佇んでいる気分にな ってしまった。たった十七字なのに。

【092】案内札なくば見逃す登山口     安藤 悠木

登山口とは案外そんなものだ。とりたててのものが何もない い。そんなことを詠んだ句があったようだ。少し違う角度か ら詠まれている。登山口とは何故か詩情の湧くところ。


他にも好きな句がたくさんありました。

【017】どう見ても拗ねたる顔ぞ捨案山子  池嶋 大貴

【027】台風禍ブラックアウトの闇続く   迫山 悦子

【047】オカリナの色なき風に響きけり   森 佳月

【051】妹偲ぶ肩にたまゆら赤蜻蛉     倉田 詩子

【068】虫の闇終電の客消えゆけり     中内 ひろこ

【089】胸反らす朝の体操いわし雲     太田 明

【096】秋風や熊野古道に幾王子(添削あり)前田 秀峰

【116】どんぐりにのつぽとふとつちよありにけり(添削)森佳月

【127】汐入りの城の外堀鯔跳ぬる     平田 冬か



(次回10月31日締切分は、11月中旬に平田冬か選として発表します。)