
2025年5月16日~2025年6月15日締切分
森田 純一郎選(新ウェブ句会より)
特選 三句
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90
川音に箸を置きもす夏料理
大久保佐貴玖
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106
ここまでが村の境や溝浚へ
西岡たか代
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92
荼毘煙けぶらせ梅雨を昇天す
迫田斗子
秀逸 五句
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1
水馬おはじき遊び思ひけり
中島 葵
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74
名園にあつけらかんと梅雨茸
黒岩恵津子
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103
青嵐バトンガールを翻弄す
広田祝世
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108
親と子の薬味違へて冷奴
安田純子
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113
石斛の匂へる朝の法話かな
近藤八重子
特選 三句
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特選1
川音に箸を置きもす夏料理
大久保佐貴玖
あっさりと詠まれた句である。季語である夏料理に合うさっぱりした感じの表現だと思った。また、選者としてこういう肩に力の入っていない実感の伝わる句というものは魅力的だ。
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特選2
ここまでが村の境や溝浚へ
西岡たか代
作者の住む山添村は今もこうした地元での奉仕活動が熱心に行われているのだろう。ここまでが自分達の責任範囲ということを確認している。机上ではできない句だ。
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特選3
荼毘煙けぶらせ梅雨を昇天す
迫田斗子
弔句であろう。梅雨時に亡くなった人を客観的に淡々と詠むことによって、作者の悲しみがより強く読者に伝わってくる。「梅雨を昇天す」という表現が句に広がりと格調を与えている。
秀逸 五句
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秀逸1
【1】
水馬おはじき遊び思ひけり
中島 葵
なるほどと思った。また、こういう詠み方は私にはどうしても出来ないとも思った。純粋な人だと思う。
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秀逸2
【74】
名園にあつけらかんと梅雨茸
黒岩恵津子
中七を含め、こういう句はベテランでないと成功しない。納得の出来る省略句であることを分かる人は分かる。
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秀逸3
【103】
青嵐バトンガールを翻弄す
広田祝世
説明の要らない句だ。大胆に表現しながら風格が損われていない句とは簡単そうで難しい。
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秀逸4
【108】
親と子の薬味違へて冷奴
安田純子
単なる報告句ではないポイントは冷奴という季語である。家庭の主婦として母としての優しさを感じる。
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秀逸5
【113】
石斛の匂へる朝の法話かな
近藤八重子
石斛は四国への吟旅で一度教えられただけだ。しかし、この句から朝のきれいな空気と芳香が分かる。
入選
入 選 句
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【5】
七変化赤はやつぱり赤のまま
井野裕美
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【6】
明王の煤ぶる堂や五月闇
斎藤利明
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【9】
黒潮に迫り出す岬南風吹く
清水洋子
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【16】
板の間は鏡光りや夏の宿
宮原昭子
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【22】
白雨去り一村靄に包まるる
小林恕水
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【23】
子かまきり親と全く相似形
村手圭子
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【24】
顔見えぬ闇の挨拶蛍狩り
高橋宣子
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【25】
万緑の包む白亜の大観音
宮原昭子
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【38】
棚なせる代田どれにも月映る
近藤八重子
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【40】
外堀の水は満々夏に入る
鳥居範子
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【43】
堀めぐり緑雨の中を漕ぎ出しぬ
木村由希子
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【46】
軽暖や流れつく藻のすぐ乾く
糸賀千代
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【48】
この先は立入禁止道おしへ
稲垣美知子
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【66】
天心に南十字の星涼し
古谷彰宏
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【71】
琵琶湖をば庭とする館夏料理
黒岩恵津子
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【80】
暖簾涼し流るるやうに川と描き
清水洋子
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【82】
裏表なきがよろしき竹夫人
(・・・・・・・い・・・)安田純子
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【83】
逸り鵜のもんどりうつて水潜く
前田野生子
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【89】
耐へきれず雨粒落とす梅雨の空
森田教子
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【100】
江商の家訓一幅床涼し
山崎圭子
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【115】
蛍火に闇の深さを知りにけり
大久保佐貴玖
入選
佳 作 句
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【2】
さんふらわあ二等船室三尺寝
たなかしらほ
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【12】
翻る定点は何処つばくらめ
西本陽子
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【19】
一湾を火の海にせる夕焼かな
小林恕水
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【26】
ビオトープ渡り来る風薫りけり
木村由希子
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【31】
空映りドローンめきたるあめんぼう
吉川やよい
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【52】
南極へ続く海原銀河濃し
古谷多賀子
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【57】
出雲国府跡地千坪草茂る
吉浦 増
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【59】
却って稿進む卯の花腐しかな
平田冬か
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【67】
梅雨晴間蝶の来る来る花時計
糸賀千代
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【93】
端居せる夫の背少し丸み増し
中内ひろこ
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【105】
エンタシス映る水面を水馬
木村由希子
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【116】
峠句碑間近に杜の句座涼し
阿部由希子
純一郎吟
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【36】
五月雨の長居の森の濃かりけり
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【42】
潜望鏡めける気根や梅雨の沼
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【61】
園薄暑摩耶六甲を背にし