2017年7月1日~2017年7月31日締切分

特選1
左の掌終始鵜縄の要なす  古谷彰宏

先般、私も初めて本格的な鵜飼を長良川で見たが、鵜匠は何羽かの鵜を巧みに縄を操って鵜飼をする。 その時に左手が要の役目をするという所に着目し、迫力ある句に仕立てている。こうした時の写生句の成功のポイントは一点を捉えることである。

特選2
仏壇を思はず閉ぢぬはたた神  平田冬か

はたた神、つまり雷のことである。よほど強烈な雷が鳴ったのだろう。作者は、家の中にある大切な仏壇の扉を思わず閉めてご先祖様を守ろうとしたのだろうか。 この一句から雷の怖さが読者に伝わって来る。

特選3
夏期講座風がページをめくりくれ  村手圭子

一読して、さわやかな気分になる句である。屋外で行われる夏期講座では、時々このように風が吹いて来て、資料のページを開いてくれることもあるのだろう。 緑の木々の間を吹き抜ける涼風を感じさせてくれる。

入選1
下駄の歯の無きかに減りて踊りけり  古谷多賀子

郡上八幡に行った時に、一晩中激しく踊る郡上踊りでは、すぐに下駄の歯がすり減ってダメになってしまうと聞いたが 、まさにこの句のような光景なのだろう。

入選2
湧水を飲み比べもし避暑散歩  木村由希子

この句の場合は、特に固有名詞によって地域を示さずとも、湧水を飲み比べ出来るような所であれば、 避暑散歩する気分になるのだろうということが分かる。

入選3
推敲の一字に迷ふ団扇かな  太田 明

句が出来上り、もう一度推敲してもっと良い言葉がないか迷い考えているのである。 この句、「扇子」でも良いようだが、汗を拭き拭き苦吟する様子は団扇の方が合う。

入選4
整然と積む漁具漁網盆休  田島もり

「整然と」という上五が良い。それが漁具漁網だということで読者を驚かせ、 最後の盆休で納得させるという技巧が施されている。

入選5
夜濯や小さく干して旅にあり  清水洋子

夜濯は、今では懐かしい季語だが、確かに少しの洗濯物を夜中に干して旅に出るということは分かる。 原句は「夜濯の」だったが、一旦切った方が良いので添削した。

次に次点句を列記します。添削したものもあります。

【004】さながらに絡繰人形鉾の稚児   小田ゆき子

【014】円空仏処々に美濃路の青田風   長谷阪節子

【019】花みかん朝戸に強く匂ひけり   中島正幸

【029】午後二時のカンナ烈火の如きかな 木村由希子

【034】砂浜に足裏焦げさう炎天下    迫山悦子

【037】樹下涼し水琴窟の音もまた    安藤悠木

【038】宗祇水そそぎ入る川水遊び    篠原かつら

【043】青空を仰ぐ八月六日かな     小林恕水

【045】川風の通りよろしき夏座敷    玉田ユリ子

【049】走馬灯思案どうどうめぐりして  中島幸子

【052】町内の一斉掃除涼新た      黒岩恵津子

【053】渡り鳥石狩砂丘超えにけり    佐々木紫水(添削句)

【054】直角にキャラメル巻きや鮨楽し  近藤八重子(添削句)

【055】釣る人もなき山峡に鮎育つ    玉置泰作(添削句)

【056】空真青梅のずらりと天日干し   竹本正竜(添削句)

【057】田水張り田毎に映る夕陽かな   加島一善(添削句)

【059】難聴になりさうなほど蝉激し   壁谷幸昌(添削句)

【060】日向ぼこめき蜥蜴今充電中    馬越 久

【062】芭蕉句碑訪ひもし水都避暑散歩  鳥居範子

【065】疲れ鵜か舟に遅れて曳かれ行く  山本ヒロ子

【076】ありし日の父を偲びて夕端居   迫田斗未子

【081】ひもじさを知る人の減り終戦忌  糸賀千代

【090】炎天の航終へて又炎天へ     たなかしらほ

【093】下界の灯涼し六十階にわれ    岡本あざみ

【098】魁の気風引き継ぐ健次の忌    栗林通子

【099】掛け声に鉾撓はせて回しけり   内田あさ子

【108】手縄にてさばく怠け鵜逸れる鵜  山崎圭子(添削句)

【112】唇のおぼえてをりぬ草の笛    日根美恵(添削句)

【118】打水の二度が三度となりにけり  新實和夫(添削句)

【122】朝顔の一筋の糸咲き登る     山下えつこ

【124】登山道行く若さ欲しわれはバス  稲垣美知子

【127】二筋のやがて一布に夫婦滝    林つぼみ

【129】廃れたる木地師の村を避暑散歩  朝雄紅青子

【137】摩天楼上れば心地良き南風    阪野雅晴

【144】踊下駄買うて郡上へいざ行かむ  篠原かつら

【152】そこここに歌碑あり滝の道登る  津田つる子

【154】はんざきの輪廻転生岩となる   野村親信

【156】また増えし空家の庭に蝉時雨   足立 恵(添削句)

【173】過疎の村誇れる蛍ありにけり   本多亢子(添削句)

【181】杖放ち踊りの輪へと飛び入りぬ  広田祝世

【195】端居して独り言又ひとり言    近藤八重子

【200】土産下げ潮騒聞きつサングラス  吉田ひろこ(添削句)

【205】白南風に押され黒門潜りけり   角山隆英

【207】薄墨の草書涼しき葉書かな    鈴木則子

【211】補聴器を外したくなる蝉しぐれ  新實香代子

以下の番号句は類句・類想のきらいがあるために取れませんでした 070、077、109、110、201

皆さん、また今月末を目標に新しい句を投句して来て下さい。純一郎